創業を前後して、事業計画をつくる機会は多い。とりわけ外部からの資金調達を視野に入れている場合は、事業の初期段階にもかかわらず、大掛かりな事業計画をつくりがちである。
教科書どおりに事業計画をつくっていくと、外部環境の分析から始まって、パワポで数十枚の大作紙芝居ができあがる。
しかし、不確定要素が多すぎるシード期において、そんな計画をつくっても、まさに絵に描いた餅であって、つくるだけ時間の無駄だ。
シード期につくる計画はA4で1枚に収まるコンパクトなものでよい。
そのA4計画で検討するのは、
- だれに売るのか
- なにを売るのか
の2点だけで良い。
だれに売るのか
当たり前のことだが、顧客が存在しないことには、ビジネスは成立しない。
スタートアップとかビジネスモデルとか、ついカタカナで考えると忘れがちなのだけれど、商売、商いというものは、お客様(顧客)を見つけるところが出発点である。
自社の顧客を考えるときに、二十代女性とか四十代男性とか、荒いくくりで考えてはいけない。
実際に事業を起こす際には、さすがにもうちょっと顧客像を絞るだろうが、それでも、荒すぎることが多い。
その想定顧客が、朝起きてから夜眠るまでの行動を全部書き出してみる。
潜在顧客が何を心地よく思い、あるいは、何を不快に思っているのか想定する。
ヒアリングやアンケートを実施して、行動と、心理面を、深いレベルで理解する。
サービスや商品は、顧客の 心地よさを増大させるものか 不快を解消させるものから生まれる。
なにを売るのか
このように精緻に顧客イメージを掴んだら、その顧客に対して、なにを売るかを考える。
顧客の快の増加あるいは不快の解消に役立つものはなにか。それはどんなサービスあるいはプロダクトなのか。
この順番を間違えてはいけない。サービスやプロダクトが先にあって、それに合った顧客を探しにいくのではない。
初めに顧客がある。その顧客に、サービスやプロダクトを当てにいく。
自分たちは何者なのか
最初期の事業計画においては、けっきょく、自分たちは何者なのか、を定義づけるのが大事。
事業という世界で自社をアイデンティファイするのは、顧客と商品である。
だからここだけを、このエッセンスを、コンパクトに定義する。
ここがきちんと決まれば、おのずと他の要素は見えてくる。
顧客を獲得し、商品を作るための組織、資金などだ。
事業計画とはけっきょく、顧客へ商品を届けるためのルートを描くことなので、まずはこの二点をしっかり思い描くことが大切だ。
おわりに
自社の顧客となる人物を具体的に何人思い浮かべられるか、というのは大事ですね。自分の知り合いのうち、何人が顧客になりえるか、とかね。