スタートアップ経営管理の覚書

スタートアップの管理部門で働く公認会計士のブログ

お金をかけない管理系インフラの作り方

スタートアップには管理系のインフラにそれほどお金をかける余裕がないので、ローコストで運用できる管理系インフラの構築が求められる。

20人くらいまでの組織だったら耐えられるインフラを、我が社を例にとって考えてみる。

全般

まずは全般的なインフラ(簡易的なパッケージ・システム)として、G Suiteが便利。

gsuite.google.com

GmailやGoogleカレンダー、ドキュメント、ドライブなどの各種Googleのサービスを、会社の独自ドメインで利用することができる。

導入にはちょっとした手間がかかり、世の中には導入コンサルみたいなかたちでお金を取っている会社もあるが、自分たちで十分対応できるはず。

メールは内部的にはほとんど使わないけれど(チャットを使っている)、対外的にはやはりまだまだ必要。カレンダーは内部の日程共有にチームごとのカレンダーを作成して管理している。資料はGoogleドライブに一括保管。

Googleドライブの共有がわかりづらい、という声はよく聞くけれど、慣れの問題だと思う。わかりづらい要因は、ファイルが一箇所に集中管理されているわけではなく、各自のアカウントに紐づいたファイルを必要に応じて共有するという分散型の管理だからだと思われる。

うちの場合は、フォルダごとに共有権限を管理して、それぞれのフォルダ内にファイルを放り込んでいくことで、なんとなくDropboxっぽい使い方ができている。気がする。個人的には分散管理でも不都合はまったくないのだけれど、Dropboxっぽい使用感が欲しい場合は、ファイルごとに共有ではなく、フォルダレベルでの管理をしておけばよいと思われる。

コミュニケーション

コミュニケーションはチャット。私が役員やってる会社は1社がチャットワークで、もう1社がSlackであるが、これは好みの問題でなんでもいいと思う。

go.chatwork.com

slack.com

 

Slackはなんとなくとっつきにくいという人も多いので、ガッツリITって感じのメンバーでなければチャットワークのほうが抵抗感なく導入できるようには思うけれど。

チームごとに箱を作って、日常的なコミュニケーションはチャット上で行い、短期的なタスク管理もチャット上で完結させている。

もっとも、チャットはあくまでチャットなので、情報のストックや中長期的なタスク管理には向かない。

あくまで、流れていっても問題ないやりとりと、短期的なタスク(直近でやり忘れると困ることだけ)をチャット上で管理している。

チャットで話したことのうち、情報として残しておく必要があるものは、コピペしてGoogleドキュメントに残していっているけれど、このあたりの運用については悩ましく、これといった解決が今のところない。

また、長期的なタスクの管理ツールについても、Trello等いろんなものを試してみたが、うまく利用が続かなくて、これについても模索中。なんかいいのないかな。

会計

会計ソフトは、消去法的にMFクラウド会計を利用しているが、これも好みの問題で、 freeeでもいいと思う。

 

biz.moneyforward.com

 

www.freee.co.jp

正直、どっちも能力的に大差はない。UIとかの好みで選ぶのでいい。

金融機関等と連携しているので便利といえば便利だけれど、会計ソフトとしては、ハッキリいって貧弱。

仕訳の承認機能がなかったり、修正した場合の修正履歴を見れなかったりで、いわゆる内部統制の観点がほとんど抜け落ちている。

まぁ、もともと零細企業をターゲットに作られたものなので、高度な管理機能は不要という割り切りなんだろうけれど、MF社はどうやって自社ソフトで上場審査を乗り切ったのか、ちょっと謎ではある。

人事労務

人事労務は、SmartHR一択という状況かなと思う。

 

smarthr.jp

ただこれも、もちろん便利ではあるのだけれど、自前でスプレッドシート作って管理して、面倒な手続が増えてきたら社労士に投げる、でいいのではないかとは思っている。

給与計算は内製化してもいいけれど、事務手続まで内製化する意義に乏しいので、人数が増えてきたら社労士にお任せするスタンスが正解かな。

採用や人事評価といった、組織の成長に直結するところは内製化する方がいいが、事務手続はただひたすら面倒なだけなので、外注がよい。

そういう意味では、経理の内製化 or 外注はそうとう悩ましいところだが、人事労務面はあまり悩まず、スパッと割り切りができると思う。

できるだけ自前で作った方が早い説

と、ここまで書いてきて、本当にメジャーどころしか紹介していなくて、なんでだろうと思ったわけだけれど、ほとんどの管理ツールをGoogleドキュメントやスプレッドシートで作っちゃってるから。

もちろんパッケージとして販売されているもののほうが見た目も綺麗だったりして使い始めはテンションが上がるのだけれど、痒いところに手が届かないと言うか、もうちょっとここが…とのぞむと個別のカスタマイズになって、コストが跳ね上がることが多い。

Googleのドキュメントやスプレッドシートは、すごーく高機能なわけではないけれど、自由に作れるし、業務の状況に合わせてどんどん作り変えちゃえばいいので、そっちのほうが手っ取り早い。

また、こういったツールで管理できるレベルまで業務をシンプルに標準化しよう、という意識が働くので、業務効率化にも役立つのである。

高機能なツールを導入すると、ついついツールを使いたいがために業務を複雑化するなど、本末転倒なことも起こりうるので、できる限りシンプルなツールで、シンプルな業務にするのが良い。

おわりに

試行錯誤中のタスク管理については、また別途記事を書きます。