スタートアップ経営管理の覚書

スタートアップの管理部門で働く公認会計士のブログ

急成長のスタートアップの管理部門が注意すべきこと

JA秋田おばこの巨額損失のニュースが話題になっている。 www.asahi.com 事務量が増えたのに電算システムが導入されず、職員数人の手作業では会計処理が追いつかなくなって、収支が把握できなくなった。その結果、正しく精算されず、累積赤字が膨らんだとみら…

株式投資型クラウドファンディングは有益な資金調達手段か?

まだ一般的な資金調達方法として認知しているとはいえないが、株式投資型クラウドファンディングという資金調達方法がある。2015年5月に金融商品取引法の改正によって解放されたまだ若い制度だ。 これはひとことで言えば、インターネットを通じて一般投資家…

平成29年度以降の医療費控除の簡素化まとめ

スタートアップとは直接関係ないけれど、自分が医療関係の会社に所属しているので、備忘を兼ねて医療費控除の簡素化についてポイントまとめ。 激務で医療費がかさんでいるスタートアップ界隈の人にも有益かもしれませんが…。 領収書の原本提出が不要に 平成2…

シード期の事業計画はA4で1枚にまとめる

創業を前後して、事業計画をつくる機会は多い。とりわけ外部からの資金調達を視野に入れている場合は、事業の初期段階にもかかわらず、大掛かりな事業計画をつくりがちである。 教科書どおりに事業計画をつくっていくと、外部環境の分析から始まって、パワポ…

起業家にとって市場規模より大切なこと

スタートアップを起業するに際して必ずと言っていいほど、市場規模が大事だと言われる。 最低でもXXX億円の規模がある市場を選んで起業すべし、というようなことだ。 だが実際にスタートアップを経営する立場になると、市場規模ってそんなに大事なのか、とい…

スタートアップでプロフェッショナル・ファームの経験は役にたつか

最近、というか、数年前から、大手監査法人やコンサルティング・ファームなど、いわゆるプロフェッショナル・ファームからスタートアップ/ベンチャーに転職したいんだけど、どう思う? という相談を受ける。 ぼくの場合は、大手監査法人から転職ではなく、創…

クラウド会計ソフトを使って経理を爆速化&付加価値を生み出す仕組

MFクラウド会計やfreeeといったクラウド会計ソフトを使って、月次決算を早期化し、付加価値を生み出す仕組を考える。 従来、経理業務は月中のオペレーション(経費清算や各種証憑類の収集など)と月初の決算業務(会計ソフトへの仕訳入力作業)に大きく分か…

人に業務を合わせないで、業務に人を合わせるためにすべきこと

業務設計をしていると、人に業務を合わせるか、業務に人を合わせるかというジレンマが生じる。 前者は、現在のメンバーの能力や稼動時間に合わせて業務を設計することであり、後者は、設計した業務に合わせてメンバーを適宜教育、補充していくことである。 …

MFクラウド会計は上場審査に耐えられるのか考えてみた

二大クラウド会計ソフトといえばMFクラウド会計とfreeeである。 クラウド会計ソフトはライトユーザー向けというイメージが強く、実際に、一般的なプランでは会計ソフトとしての機能は貧弱であることは否めない。 だが実は、freeeはエンタープライズ版という…

昨今のIPO監査契約の厳しさと、受注のために会社がすべきこと

IPO

一年ほど前から話は聞いていたけれど、IPO(株式公開)のための監査法人の監査が、非常に厳しくなっている。 すでに監査法人と契約している会社への監査の厳しさも増しているが、それ以上に大変なのは、これから監査法人との契約を考えているベンチャーであ…

お金をかけない管理系インフラの作り方

スタートアップには管理系のインフラにそれほどお金をかける余裕がないので、ローコストで運用できる管理系インフラの構築が求められる。 20人くらいまでの組織だったら耐えられるインフラを、我が社を例にとって考えてみる。 全般 まずは全般的なインフラ(…

スタートアップにおけるダイバーシティ

企業においてダイバーシティが求められるようになって久しいが、スタートアップにおいてダイバーシティと強い経営を両立するのは難しい。 誤解を恐れずに言えば、スタートアップにおいては、通常、ダイバーシティの確保と成長スピードは対立的な要素となる。…

スタートアップでは精緻な仕組みより動く仕組みが大事

業務設計をしていると、つい精緻な仕組みを作りにいってしまいがちである。 アウトプットの品質を追求すると、ついたくさんコントロールするポイントを盛り込んでしまうが、それだと「見た目は立派」なのに「動かない仕組み」になる。 スタートアップにおい…

シード期の資金調達は慎重に

会社の経営において資金繰りは常についてまわる問題だけれど、創業間もないシード期においては、とりわけ苦しむことが多い。常に資金ショートのことを考えながら経営していると、しっかり腰を据えて事業に取り組むことができない。 近年はスタートアップへの…

管理業務をアウトソーシングするときの注意点

スタートアップ企業においては経営資源の制約から、管理面の業務についてはアウトソーシングで対応することが多い。 アウトソーシングについては、コストの変動費化、一定品質の専門サービスの享受といったメリットがある反面で、会社の成長スピードに柔軟に…

業務標準化を進めるための3ステップ

こちらの記事で書いた標準化の具体例の話。 shonancpa.hatenablog.jp 業務の標準化の重要性を理解し、いざ着手しようと思ってもどこから手をつけていいかわからない、何から始めていいかわからない。そういう時は、この3ステップで行うとスムーズに進む。 具…

スタートアップこそ業務標準化に注力すべし

大企業はルールや縛りが多く仕事の進め方に制約がかかる、でもスタートアップでは自由に仕事ができる。 スタートアップについて自由に仕事ができるイメージを持つ人も多いけれど、自由と無法地帯は紙一重。ほとんどのスタートアップが、積極的に自由な働き方…

スタートアップにおける管理部門の役割

軽視されがちな管理部門 スタートアップにおいては経営資源(ヒト・モノ・カネ)の制約が大きいため、本業ビジネスの開発・成長に集中的にリソースが投下されることになる。管理部門は、雑用部門のようにみなされて軽視されがちであり、とりわけ会社の立ち上…